朝、目が覚める。


いつも通りの、オレンジ色でふわふわとして寝ぐせのついている、自分の髪が目に入る。


もふっとした感覚が首の後ろをくすぐっていて、あまりにも当たり前なその朝に___


少し、恐怖を覚えた。


昨日の夜、カルアに伝えられたのは、残酷で哀しい現実だった。今日から二十日間のあいだに、愛する人とくちづけを交わさなければ___つまり、キスをしなければ、カルアは消滅するということ。


実際カルアもまどろんでいたし、ただの悪夢だったのかもしれないと自分に言い聞かせながら階下へと降りていく。


もう母親は起きていて、寝起きのまま食卓に座ったカルアのほうを向いていった。


「おはようカルア。昨日の話、覚えてるかしら」


「おはようお母さん。…はい、覚えてます」


ああ、やっぱり夢じゃなかったらしい。


まだ覚醒しきっていない頭が出した答えは、それだけだった。