迷っても仕方が無い。

凜華ちゃんにそっとブレザーを掛けて隣に座る。

「ごめん。思い出したくない事、思い出させちゃったね。ほんとにごめん。」

凜華ちゃんは黙ってる。

泣かせちゃったもんな、そりゃ口は聞きたくないよな……。

「もう、私に関わらないで、1人がいい……。
1人じゃなきゃだめ。人の優しさなんて。

私には必要ない。

だからお願い。もう話しかけないで、ごめんとか言わないで!」

「どうしてだよ、ねぇ、なん……で!」

ドサッ

凜華ちゃんが俺を床に押し倒す。

仰向けに押し倒されその上に凜華ちゃんが馬乗りで乗る。

「えっ……?ちょっ!?凜華ちゃん!?」

「貴方はなぜそうやっていうの!?
別に理由は簡単よ!母親に暴力受けられてるだけ!貴方になにがわかるの!?実の母親に暴力受けられてるんだよ!?どうして?どうして、どうして!!??」

母親の暴力。

なんだ、この気持ち……

離したくない、泣かせたくない。

俺は凜華ちゃんを手繰り寄せそのまま抱きつく。

「え?え……?」

戸惑ってる凜華ちゃん。

「大丈夫。大丈夫だよ。」

そういって、ぎゅっと、キツめに。

「え、ちょっと、え!?ねぇ、?」

必死にジタバタさせて俺の腕から逃れようとひっしになっている。