あいつになにがわかるというの。

私の痛みなんて誰にもわかるはずがない。

それに人の優しさなんていらない。

知らなくていい。

もう授業さぼってしまおう。

お弁当食べたいけど喉に通る気がしない。

屋上からの階段を思いっきり降ってゆく。

階段の踊り場にある鏡を見た。

「どうして……?」

鏡に近づく。

泣いている、次から次へと頬に液体が。



答えは分かっている。

知りたくなかったもの。

人に心配されるというものが嬉しかった。

知りなくなかった。

たった一言だったけど知ってしまった。

どうしてどうして……。

その場で崩れ落ちる。

「うっ……ひっく。」