「あの!」 出た言葉は医師の足を止めた。 少し安心した自分がいた。 だって、 もしかしたらこの人は助けてくれるかもしれない。 もしかしたら教えてくれるかもしれない。 もしかしたら夢から覚ましてくれるかもしれない。 医師という肩書に、安堵を与えてくれる、そんな気がするから。 「あの、私はいったい……?」 その後の言葉は続かないけれど。