____
人目につかない場所を探して、
ようやく見つけたのが学校から少し離れた通学路。
住宅が立ち並ぶそこは、案外学校から死角になっていてわかりずらい。
早歩きしていた足を止める。
手を離して、
振り返った。
当たり前に、
だいきらいな顔が目の前にある。
「……で?」
「俺、由乃が好きなんだよ」
「何今更。ほかの女とキスしてたやつがどの口聞いてそんなこといってんの?」
指摘してもやめない私への呼び捨てにはもう諦めてやったけど、
その願いだけは受け入れてやれない。
「……俺、ぶっちゃけると由乃と付き合ってた時
ほかの女の子とも付き合ってた。それは、ほんとにごめん」
「……」
「けど、ずっとそうやってきたけど、
別れた後もずっと由乃のことがきになって、また会いたいなんて思ったの、由乃だけだったんだ。
由乃が、すっげー好きなんだ。今でも」
「……」
「だから、もう1回、俺とのこと
ちゃんと考えてくんねーかな。大事にする、今度は絶対」
そうやって、真剣な眼差しで私を見る光は
今まで見たこともない光だった。
こんな顔もする人だったんだ、なんて
不覚にも思った。