「いまの、見てた?」
へらりと
光が笑った。
頭がショートしたみたいだ。
私の中の、
何かが切れる音がする。
「……光」
そうだ、わたしは、もっと簡単なことを忘れてた。
「ごめん、あんたみたいなやつ無理だわ」
光は不良だ。
女に馴れ馴れしいただのタラシだ。
思えば光はいつだって余裕だった。
キスだって上手かった。
私が喜ぶような言葉をなんの恥ずかしげもなく言ってのけてた。
私に照れたような顔を向けたことなんて一度もなかった。
なんだ、
私ばっか空回って、バカみたい。
「別れて。ていうかお前みたいなやつ彼氏だったとも思いたくねえわ。
せいぜいそこにいるブッサいくな女とイチャイチャしてろよタラシ野郎が」