「由乃って言うの、きみ」
「…そうだけど」
初めて顔を合わせた男に 馴れ馴れしく呼び捨てをされて 思わず顰め面になった。
それを感じ取ったのか、立原光は
ごめんごめん、と軽く笑った。
「お前初対面のやつに馴れ馴れしくしすぎだっていつも言われんの。またやっちゃった、まじすみません」
ぺこ、と頭を下げた彼の首から
チャラりとネックレスが光る。
暗くて分からなかったけど、よく見ると髪色もかなり明るかった。
やっぱり男の不良はチャラい。
いや、女も同様なんだけど。
「いや、別に。由乃でいいよ」
馴れ馴れしくはされたものの、不快感を覚えたわけではなかった。
憎めないやつ、というのだろうか。
「まじ?やった、じゃあ由乃。俺のことは、光って呼んで」
「……光」
「うん!」
仲良くなるのに、時間はかからなかった。
いつの間にかメールでやり取りするようになって、
たまに遊びに誘われて出かけたりもした。
少しずつ少しずつ、距離が縮まって。
光と出会って、1ヶ月がたったとき、
彼に呼び出された。
「気づいてたと思うけど、
俺由乃がすき。付き合って」
その時にはもう、
私も彼に惹かれていた。
好きで好きで、たまらなくて、
だからわたしはあの時、
精一杯の返事をして、光に抱きついた。