「……俺は、橘が___」


何か覚悟を決めた顔をして
そう言葉を続けた時 タイミング悪くチャイムが鳴る。


ガタガタと席に座っていくクラスメイトたち。


「……」


新島を見ると、
何か言いたいことを飲み込んだような顔をしてた。


まゆを寄せて、唇を結んで、
まるで睨んでるみたいだ。


「……なんでもない。

さっきのことは忘れろ」




ふい、と背けられた顔。
顔は、もう赤くなかった。


そっけない言葉に思わず胸がギシリとする。

悲しかった訳では無い、はずだ。

それなのに、なぜだろう。


___それに気づきたくなくて、
考えるのをやめた。




「……うん」