「俺が勝手に橘のこと好きなだけで、
橘は無関係だから。
次、橘に変な真似したら先輩でも許さないんで」
_____えっ、
と、また違う意味でわたしは驚く。
そ、そういうこと…?!
というか、これって告白されたってことなんだろうか。
「っ、も、もう行こ。気分悪い」
「ちょ、千鶴待ってよ、」
新島の言葉に怯んだ先輩たちが
足早に教室を去っていく。
それをなんとなく目で追っていると、
隣でドカリと椅子に座る音がした。
「……悪かった」
ぽつり、
新島が言う。
私は首をかしげた。
「なんで新島が謝るの」
「さっきの先輩たち、俺とよくつるんでる女子と仲いい人らで、橘には関係ねえのに、巻き込んだから」
よくつるんでる女子、
その言葉を新島が放ったとき
どこか自分の内側に違和感を感じた。
いや、ちがう。
嫉妬だとか、そんなんじゃない。ちがう。
脳裏に浮かんだその感情を
あわてて否定する。
「ううん、大丈夫だから。
……というか、さ、新島って
……私のこと好きなの?」
軽く聞いてみるつもりが、
どこか慎重気味になった。
新島が、目をまん丸にしてバッと私を見た。
「えっ、…なんっ、え、いや、…?!?!」
めちゃくちゃパニクってる。