「……俺はいいって」 「私がよくない。忘れたのはわたしだし、貸してくれるのは嬉しいけど、新島が勉強できなくなるのは私が嫌だ」 「……」 「だから、はい」 言って、教科書を真ん中におく。 おずおずとこちらに顔を向けた新島は いつもより困った顔をしてて、 いつもより赤かった。 わかりやすいなあ、 なんて。 くすりと笑ったら、 新島が怪訝そうに顔をしかめた。