私は先輩達と
上手くやっていきたいのに
伊阪さんが私をからかう度に
ひやひやさせられる。

だから、
迷惑がっていれば
伊阪さんにもそれが
伝わってからかうのを
辞めてくれると思ってたのに
なかなか 止めてくれない。


私が思うに、
男にちやほやされる女は
嫌われると思うから
余計に 伊阪さんとも
早く距離を取りたかった。


それに、
姉いよに言われるよりも先に
問題を解決しかった。


「最近、お前調子に乗ってるって
言われてるよ。いよに迷惑かけないでって言ったのに。これかよ」

やはり、遅かったみたいで
いよから先に言われてしまった。


「ごめん、なさい」
私はそう言うしかなかった。
また、前みたいな自分の存在が
空気のような生活に戻るのかと
考えただけで、辛くなった。



部活へ行く途中で
伊阪さんと会ってしまった。

「おーい、かよー」

そう 伊阪さんは言ったが
私はそれを聞こえないふりして
女子の部室へ向かった。


その日の部活で、
伊阪さんが私に
声をかけることはなかった。


次の日
移動教室で科学室へ
向かっている時、
たまたま伊阪さんも
移動教室だったらしく
居合わせてしまった。

けれど、
視線が合う前に
目をそらした。

そのまますれ違った。
不意に香った伊阪さんの
せっけんの匂いに
胸がどきりとした。


その時、
伊阪さんへの
後ろめたさからなのか
脈がより速く打っているのを感じた。