私の通っていた白馬中学は
中高一貫校だったので、
中学校を卒業しても、
そのまま白馬高校に
通う先輩が多かった。

そのため、
あの先輩と3年間も
同じ学校に通うはめになった。


「おーい、かよ。
部活中にぼけっとすんなよ」

「してませんよ。
伊阪さんこそ高校生になったんだから
早くあっちに行って下さい」

「なんだよー、つれないなあ」

そう言うと、伊阪さんは
子犬のような瞳で、
私の顔を覗くと
高校の部活に戻っていった。


中学から高校生になっただけで
前となにも変わらない先輩。

同じ体育館での部活。

けれどしっかりと、
中学と高校を仕切るフェンスで
区切りがあった。


初めて部活の見学に
行ったとき、
とても緊張していたのを覚えている。


それもこれも、姉から
【先輩に目をつけられないように
しっかりしないといけない】と、
よく言われたから余計に緊張して、
手に汗を握っていた。


私が中学一年生の時
姉は中学三年生だったので
先輩達は良くしてくれた。



合えてと言うわけではないが
姉と同じ部活を選んだ。


先輩達は、
「いよの妹?」
「最後によが付くんだね!」
「いよとかよ」
「本当だ」

と、よく私の事もいじってくれた。



部活にもなれてきて
やっと同姓の先輩たちと
会話をするくらいになると、
異性の先輩からも
声をかけて頂くことも増えた。


私はそれが単純に嬉しかった。
面倒をかけて申し訳ないと思う気持ちと
姉が沢山増えた気持ちで嬉しかった。


私と姉のいよは、
中学に上がるまで
それほど仲が良いという
姉妹ではなかったが、
だんだんと 家でも
会話をする機械が増えてきた。


けれども、
あんたがこうしたら
私が恥をかくから止めてとか、
そう言うことばかりだった。

私は、いよに忠実だった
なぜなら初めてこんなに
話しかけてもらったからだ。

それだけで、
家族として認められているようで
嬉しかった。