「「ふぁーい」」

一応渾名が決まったためか、二人は途端に大人しくなった。

そのまま階段を上がり、二階の一番奥の部屋に奴等を放り込んだ。

俺の部屋は三階にあるので、扉を閉めたら今度はそのまま廊下を逆流する。

やけに長く感じる廊下を歩きながら、俺は中二の頃にある人から名付けられた渾名を思い出していた。

「そういや、あの人と最後に会ってからもう二年近くにもなるのか……」

そんなに時が経ってしまっていた何て少し信じられない。

あの頃純粋な文学少年だった俺は、今や危険な世界に片足を突っ込んだ暴走族の副総長青年だ。

本当、人はいつどこで変わるか分からない。


そう思い小さくため息を吐いた俺は、階段の最後の段を上がりきり、そこから一番近い扉を開け、整頓されたベッドに体をダイブさせ、ゆっくりと目を閉じた。

もう眠すぎて意識はもとい感覚も無くなりつつあったが、何故かさっき思い出したあの人の声だけは脳裏にちらついて、

それから俺が完全に落ちるまで、離れてはくれなかった。