ていうか、どうしてこの子がそんなあたしのマイナー情報知ってるの!?

洋菓子よりおはぎが好きなんて、ふーたんとの雑談ですらしたことがあるかどうかもわからないのに。

唖然とするあたしに、仁織くんが話を続ける。


「それから、朝は和食派でしょ。白いご飯にお味噌汁と甘めの梅干しは外せないんだっけ」

「は?」


ご飯とお豆腐の味噌汁と梅干し。

それが、今朝まさに食べてきたものだったから、仁織くんを見つめたままフリーズする。


そんなの、家族しか知らないはずなんですけど。

ゾクリとして、身体を抱きしめるように両腕を前に回したとき、仁織くんが思い出したように「あ」とつぶやいた。


「あと、俺と同いの双子の弟いるよね。イケメンの」

「どうして……」

なぜかわからないけど、これも正解。

確かにあたしのこと知ってるけど……

知ってる内容が内容なだけに怖いんですけど。

顔を引きつらせながら一歩後ずさる。

そのまま走って逃げてしまおうと思ったとき、仁織くんの手があたしのほうに伸びてきた。