「あたしの何を知ってるの?」

だって、みんな上辺しか見ないじゃない。

落ち着いてるとかクールだとか。

見た目だけで判断して、あたしにそのイメージを押し付ける。

こんな3つも年下の中学生が、あたしのことなんてわかるはずない。

あたしだけを映す綺麗なダークブラウンの瞳を、一層強く睨む。


「うーんと、たとえば……」

だけど、仁織くんは少しも動じない。

それどころかきゅーっと口角を引き上げて、あたしに向かって余裕たっぷりに笑ってみせた。


「好きなおやつは洋菓子よりもあんこたっぷりのおはぎでしょ」

「へ?」

落ち着いてるとかクールだとか。見た目がどうとか。

どうせいつもと同じようなことを言われるんだろうと思って構えていたら、いきなり好きな食べものが出てきたから口から間抜けな声が出た。


たしかに、あたしはおはぎが大好きだ。

周りにきな粉が塗されてるやつより、外側があんこのほうが好き。