「だから、前に言ったでしょ。よく知らない人には連絡先なんて教えられない」
「知らない人じゃないよ。これで、美姫ちゃんに会うの3回目」
「回数の問題じゃないから!」
3本指を立ててにこっと笑う仁織くんの言葉に、めまいがしそうになった。
「お願い。告白の返事はもっと先でいいからさー」
「しつこい」
「教えてくれるまで、放課後毎日高等部の校門前で待つよ?」
明るい声で脅迫まがいのことを言ってくるから、何だか頭まで痛くなってきた。
この子は、あたしの何がそんなに気に入ったっていうんだろう。
年上に憧れる時期なのかな。
それとも、今井くんからの告白現場を目撃してあたしをからかってるだけ……?
本当に訳がわからない。
「本当に待ち伏せしたりしたら、先生に相談するよ?中等部の子に嫌がらせされてるって」
「美姫ちゃん、ひどい」
低い声で脅すようにそう言ってみたけど、仁織くんは本気にしてないのかけらりと笑うだけだった。