わたしは先生からの手紙を炬燵の上に置くと、勝手に炬燵のスイッチを入れて潜りこんだ。

冷えていた体にじんわりと温かさが伝わりはじめる。


妙子おばさんは、わたしが学校をさぼったことへの小言を言いながら湯飲みに渋い香りのするお茶をたっぷりと注いでくれた。
もちろんわたしは聞こえないふりをしているけれど、おばさんはそれを承知で言っているみたいだった。


「おじさんはもうお仕事行っちゃったの? 」

「そうよ。なんか食べるね? 」

「ううん、いらない。いいから早く教えて」

「はいはい。それにしても突然な子やね」


お茶菓子か何かを探しにもう一度台所へ行こうとする妙子おばさんを制止すると、わたしは話を催促した。


「松子さんと玉緒ちゃんはね、そりゃあうらやましいぐらい仲が良かったんよ」

「え? ……じゃあ、どうしてなの? 」


予想外の答えに思わず身を乗り出してしまった。

「よっこらせ」と、炬燵に足を入れたおばさんは、ため息をつくと覚悟を決めたように話はじめた。