………、はい。
読み終えたわたしは落ち着いて目を閉じると、咲久也先生からの手紙を胸にぎゅっと押しあてた。
先生の悲しみや苦悩、そしてわたしを思ってくれるその全てが心の中に流れこんで満たしていく。
溢れた思いは涙になって、わたしの手にポタポタと暖かさを与えてくれて、その暖かさに春が近づいていることを感じることができた。
入り口は違ったけれど、先生とわたしは同じ冬の中にいる。出口が分からなくてさ迷い続けて、そして動けなくなってしまっていた。
忘れていてごめんなさい。
気づいてあげれなくてごめんなさい。
でもそんな自分を責める気はおきなかった。
先生と出会えたこと、同じ春の扉に手を添えていることの方が大切だから。