そうこうしている間に授業の始まりのﾁｬｲﾑが鳴った。

席に着き、授業も聞かずに何故かさっきの優奈の言葉が離れずずっと考えていた。

「彼氏かあ…」

呟く様に言うと、それを聞き逃さんばかりに隣に居る沙耶が聞いた。

「彼氏がどったあ??」

「え？」

ﾋﾞｯｸﾘして思わず手に持っていたシャーペンを落としそうになった。

「今、彼氏がどおとか言うてへんかった？」

何だか沙耶はニヤニヤしながらあたしの返事を待っている。

「いやあーさあ…さっき優奈に好きな人居るん？て聞かれてん」

そうあたしが言うと同時に“バンッ”と物凄い音が教室中に響いた。
沙耶が両手で机を叩いた音だ。沙耶はその場に立ち上がりこっちを見て叫ぶ。

「ぇえ!?何それ!!あたしもその話聞きたかった!!何で呼んでくれへんかったん!?」

「ちょっ、沙耶!!」

大声で叫ぶ沙耶を小声で止め、人差し指を立てて「シー!!」と言う。

その言葉に沙耶も状況を理解し、睨む先生に頭を下げ椅子に座った。

そして、一息付いた沙耶は言い直す様に今度は小声で話す。

「なぁ、何であたしも呼んでくれへんかったん!?」

「何でって…沙耶、他の子と喋ってたやん!」

「こんなおいしい話は呼んでくれな!!ぁあ～勿体ない～…」

そう言って落ち込む。

「おいしい話って…てか、何で落ち込むわけ？」

「やて、結愛の恋バナって滅多に聞かれへんやん？こんなおいしい話ないって!!」

「はぁ…」

ｷｬｯｷｬｯ言う沙耶にあたしは少し呆れた様にため息を着いた。

「それで!?結局、結愛は優奈の質問に対して何て返したん？」

「そりゃあ勿論…」

とあたしが沙耶に優奈との会話を全部話そうとしたが、先生に注意され、話は中断となった。

沙耶は話が気になるのか、こっちを見ては何度もため息をついていた…笑