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ドアのノック音で目が覚めた。


重たい瞼をこじ開けると、浩志の部屋だった。


ため息ともつかぬ声が自分の口から洩れていく。


「浩志さん、朝食の準備ができました」


昨日のお手伝いさんの声だ。


「わかった」


あたしはそう返事をして上半身を起こした。


なんだか妙な夢を見た気がするけれど、思い出せない。


しっかり眠ったハズなのに体はずっしりと重たかった。


着替えはすでに部屋の中に用意されていて、お手伝いさんが一度部屋に入って来たのだと言う事がわかった。


その時に気が付かないなんて、あたしは相当深い眠りについていたのだろう。


大きな欠伸をしながら制服に手を通す。


姿見で自分を確認してみると、やはり浩志のままだった。


「自殺しないとこの体から出る事はできないとか?」


前回の事を思い出してそう呟いてみる。


まさかね。


思い直し、小さく笑ってみた。


少しだけ気分がほぐれて来た。