左腕は点滴が刺さっていて、真っ白なシーツにくるまったまま固く目を閉じている。


どうやらここは病室のようだ。


テーブルに飾られたピンク色の花だけが色づいて見える。


さっきまで目を開けて周囲を見ていたはずなのに、あたしは目を開けない。


「あたしが、今ここにいるから?」


あたしは浮かんでいる自分の手のひらを見てそう呟いた。


手のひらはしっかりとそこに存在しているように見えるけれど、自分の体に触れようとすると通り抜けてしまった。


幽体だけになってしまったのか。


あたしは冷静にそう判断していた。


これは夢だから大丈夫。


起きた時には、きっとあたしは自分の体に戻っているんだから……。