「お前が今やってることは恐喝だろうが」


低い声で唸るようにそう言うと、明さんは下唇を噛みしめた。


叱られている小学生みたいだ。


「とにかく、俺は奏を救いたい。だからお前の事は俺の父親に話をしておいた」


そう言うと、明さんが目に見えて青ざめていく。


「おい、うそだろ?」


その声は微かに震えてもいた。


明さんすら怯えるような浩志の父親。


その偉大な存在に今更ながら驚いている。


だけどそれを隠してあたしは明さんを見た。


「お前の両親に連絡すると言ってた」


「わ、悪かった! 全部俺が悪かったから!」


そう言い、ギターをベンチに置いて砂の上に膝をつく明さん。


浩志の親はそこまで恐ろしい存在なのか。


生徒の自殺未遂を隠ぺいしてしまうというのは、やっぱり本当なのかもしれない。


あたしはよくわからなくなってきた。


「奏から巻き上げたお金は全額返金しろよ」


あたしは明へ向けてそう言った。


明さんは「わかった、わかったから!」と、何度も頷く。