明に呼び出された場所は小さな公園だった。


もう遅い時間だから公園に人の気配はなく、ギターの小さな音が聞こえてくるだけだった。


その男に導かれるようにして進んでいくと、木製のベンチに座っている明がいた。


あたしたちが近づくと明さんはギターから手を離して視線を上げた。


奏を見た瞬間ニコリと笑う明さん。


続けてあたしに視線を向けた瞬間、笑顔を消した。


「浩志……?」


名前を呼ばれてもどう返事をしていいかわからず、あたしは無言で頷くだけにとどめた。


「なんで、ここに?」


明さんがあたしへ向けてそう聞いて来た。


「奏は俺のクラスメートなんだ。最近悩んでる様子だったから、話を聞いてあげた。そしたら、お前の名前が出て来たんだ」


そう説明すると、明さんは奏を睨み付けた。


奏はひるみ、後ずさりをする。


本当に明さんの事を恐れているようだ。