浩志の両親は正義の味方ってところなんだろうか?


「って言っても金積んで黙らせただけらしいけどなぁ」


天真が続けて言った言葉にあたしは一気に肩を落とした。


そうか、浩志の家はかなり裕福だ。


学校側が浩志の両親に頼み込んでどうにか解決してくれたのかもしれない。


そう思った瞬間、あたしは箸を止めた。


豪華なお弁当をジッと見つめる。


先生は浩志の両親にお礼を伝えてほしいと言っていた。


そしてあたしの事は事故扱いになっていて、今の所生徒たちに真実が伝わっている様子はない。


それらを組み合わせていくと、おのずと見えて来るものがあってあたしは自分の口から空気が漏れていく事にも気が付かなかった。


浩志の両親はあたしの自殺未遂もなかったことにしたのだ。


あたしの両親にお金を積んだのかもしれない。


公になる前に色んな場所に口封じをしたのかもしれない。


そう理解した時、食欲が急に失せていくのを感じた。


1年1組の女子生徒の時も、よほど上手に隠ぺいしたのだろう。


あたしは今の今までそんな事があった事実すら知らなかったのだから。