「今日の分って……?」


勇気を出してそう聞いたあたしに明さんが真顔になった。


「は? なにそれ、マジで言ってる?」


急に低い声になり、相手を威嚇するように睨みつけて来る。


その豹変にたじろき、後ずさりをするあたし。


「金だよ、金」


「か、金……?」


明さんはあたしに手を差し出したまま一歩近づいて来た。


金って、一体なんのことだろう?


あたしはただ混乱し、助けを求めるようにキョロキョロと周囲を見回す。


「俺に会う時、1時間1万円払えって言っただろ。忘れたフリすんなよ」


明さんの言葉に一瞬頭の中が真っ白になる。


1時間1万円?


「今日の分、2万円だろ」


続けて明さんが言った。


今日はファミレスで2時間おしゃべりをしていた。


だから2万円出せと言っているのだ。