だけど、触れた感覚が違う事に気が付いていた。


同じように持ち歩いていたとしても、生徒手帳の使用頻度は異なって来る。


あたしみたいにメモ帳の代わりにしている子もいれば、持ち歩いているだけで全然使わない子もいる。


あたしの手の中にある生徒手帳は見覚えのあるものだったが、使い込んでいるような手触りではなかった。


あたしはスッと息を吸い込んで、生徒手帳を開いた。


生徒手帳を開いてすぐのページには、2年に進級して一週間ほど経過したときに撮影した写真が貼られていた。


あたしはその写真を見て、小さく悲鳴を上げる。


自分の写真ではなかったが、それは見覚えがある顔だった。


クラスメートの武元奏(タケモト カナデ)。


途端に体中に鳥肌が立った。

走馬灯のように昨日までの出来事が蘇ってきて吐き気がしてくる。



焼却炉で無理やり口に詰め込まれた炭の味がリアルに戻って来た。


あたしは生徒手帳をポケットに戻し、自分の胸に手を当てた。


動機がして、ベッドに座った。