「奏の話を聞いて、もしかしてって思ったんだ。穂月が家に居場所がないなら、イツキだって居場所がないはずだろ？　普段は司の家にいたのかもしれないけど、今司はいないし……」


そうだったんだ。


たったそれだけでなんの確証もないのに、ずっとあたしを探してくれていたんだ。


そう思うと、心の奥がジワリと暖かくなる。


夏斗は本当にあたしの事を大切にしてくれているようだ。


「よかったら、今日は俺の家に泊まらないか」


その言葉にあたしは自分の頬が赤くなるのを感じた。


それを見た夏斗も瞬時に頬を赤らめる。


「別に、変な意味はないからな。ただ、イツキが野宿するなんて事になったら、気が気じゃないからだ」


慌ててそう言う夏斗にあたしはフフッと笑った。


「わかってるよ。ありがとう夏斗」


あたしはそう言い、ベンチから立ち上がったのだった。