「ごめんみんな。あたし穂月じゃないんだ。本当はイツキなの」


そう言うと、3人はキョトンとした表情を浮かべた。


「なに言ってんだ?」


「ごめん夏斗。お見舞いに来てくれてたこと、あたし知らなかった」


そう言うと、夏斗は見る見る内に驚いた表情に変わって行った。


「ユメノ。ユメノは本当に才能があると思う。だからあんな事務所辞めてよかったんだよ?」


「なんで、穂月がそんな事知ってるの……?」


「奏。奏は本当はとても優しいんだと思う。だから明さんから逃げることもできなかったんだよね? でも大丈夫。正しいストレスの発散方法を考えれば、もうあんな男に脅されることもない」


奏は驚いた顔であたしを見た。


あたしはゆっくりと3人の顔を見回す。


「みんな、記憶が抜け落ちている日があるよね?」


あたしがそう聞くと、3人は顔を見合わせて頷いた。


「その日、あたしがみんなの体に乗り移っていたの」


「なに、言ってんだよ穂月……」


夏斗は混乱したように視線を泳がせる。


「あたしが作ったストラップ。夏斗のスマホにつけておいたよ、メモ用紙と一緒に」


そう言うと、夏斗はあたしの顔を見て絶句した。