「司、なに突っ立ってんだよ」


赤髪の男に声をかけられて顔を上げると、全員ソファに座ったり床に寝転んだりと、好き勝手にしている。


「俺、今日はやっぱり学校に……」


最後まで言うより先に、赤髪の男が立ち上がって近づいて来た。


あたしの目の前に立ち、ニヤリと笑う。


「この前みたいにドラッグやめるとか、シケた事言うんじゃねぇぞぉ? テメェにはもう俺たちしかいないんだ。学校や親なんて、とっくの昔にお前の事見離したじゃねぇか」


そう言われて、あたしは返事ができなくなってしまった。


確かに、司は両親に見離されているんじゃないかと感じていた。


だけどこの男の言い形だと、もっと昔から学校や両親に見離されていたという雰囲気があった。


「小学校の頃にイジメられてたお前を助けたのは誰だった?」


そう聞かれてあたしはおどろいて赤髪の男を見た。


司がイジメられていた?


そんな話聞いたことがなかった。


「助けたのはこの俺だ。だからお前は俺とずっと一緒にいる事を選らんだ。もう忘れたのか?」


そう……だったんだ……。


司はイジメを受けていた。


その時に助けてくれたのがこの男で、それ以来司はこの男から離れる事ができなくなり、この家はたまり場になってしまっていたんだ。