あたしは気が付かない内に後ずさりをしていた。


この人たちは司の友達なんだろうか?


そしてここはたまり場?


司の両親はどこへ行ったんだろう?


まさか、逃げたとか……?


この状況を見るとその可能性も出てくる。


手に負えなくなった息子を見捨てて逃げたのだ。


「なにボーっとしてんだよ」


緑色の髪をした男が近づいてきてズボンに手を突っ込んできた。


引き抜いた手のひらには司のスマホが握られている。


司はスマホをポケットに入れたまま眠っていたようだ。


「き……今日は学校があるんだ」


あたしは緊張を悟られないようにそう言った。


「学校とか、そんなもんサボれよ」


赤髪の男が笑いながらそう言った。


「いや、でも……」


あたしは男が持っているドラッグに視線を落とす。


男は手慣れたように封を切った。