「夏斗、お前は自分の立場を理解してねぇなぁ?」


そう言われても、恐怖で返事なんてできなかった。


やられるがまま、言いなりだ。


「夏斗がイツキをイジメるのをやめてくれって土下座した時、俺チョー感動した」


司が笑いながらそう言った。


え……?


「そうそう! 夏斗ってば大泣きしながら土下座するんだもん、面白かったよねぇ!」


穂月が思い出し笑いを始める。


あたしの頭は混乱していた。


持っていたストラップ。


あたしを助けたいと言っていた夏斗。


でもまさか、そこまでしてくれているなんて思ってもいなかった。


「だからイツキイジメはギリギリのところでいつも止めてやってたんだろうが。お前は俺たちに借りがある。そうだろ?」


そう言い、司はあたしを解放した。


突然手が離されて、その場に尻餅をついてしまった。


「イツキが戻ってきた時に今まで以上に痛めつけてやろうか?」


あたしを見おろしてそう言う司。


あたしは何も言えず、唇をかみしめたのだった。