最初は失敗してしまったけれど、どうにか奏として会話に加わる事ができていた。


イジメグループは司と穂月を中心として6人で形成されていた。


イジメの発端となった穂月。


2年に上がってから穂月と付き合い始めた司。


そして奏、ユメノ。


男子の岡本浩志(オカモト コウシ)、今田天真(イマダ テンマ)。


この6人はいつでも仲良しだ。


「もうこんな時間かよ。イツキ来ねぇな」


司の口から不意にあたしの名前が出てきてあたしはビクリと体を震わせた。


教室の中にあたし、イツキの姿はない。


当然だ。


あたしは奏の姿になってここにいるんだから。


「昨日散々イジメといたから今日は来ないって」


穂月が欠伸をかみ殺しながらそう言った。


あたしが学校に来ない事なんて、この子たちにとっては大したことじゃないようだ。


「もしかして、自殺してたりしてね」


ユメノが冗談っぽくそう言って笑いを誘った。


だけどあたしは1人笑う事ができなかった。