あたしたちという威圧感はいつの間にかミカちゃんの心を支配し、がんじがらめにしているのだ。


恐怖で拘束されたミカちゃんは、鎖でつながれたペットのようなものだった。


あたしがそうだったように、ミカちゃんが逃げられるわけがない。


やがて、あたしたちは校舎裏に到着してしまった。


振り向くと、想像通りミカちゃんは大人しくついて来ていた。


あたしは緩く息を吐き出す。


「イツキ、やっぱり今日も来なかったねぇ」


到着するや否や穂月がつまらなさそうな声でそう言った。


ミカちゃんの体がビクリと跳ねる。


「ミカ、なんでそんな後ろの方にいるの?」


穂月がミカちゃんを手招きする。


敵の中心に向かってゆっくりと足を進めるミカちゃん。


どこかに味方がいないかと懸命に視線だけで周囲を確認しているのがわかる。


やがて、ここには誰も来てくれそうにないと理解してガックリと肩を落とした。


「そろそろ本格的にやっちゃう?」


ミカちゃんを見ながら穂月がそう言う。


その言葉に一番楽しげな表情を浮かべたのはユメノだった。


「いいねぇ、やっちゃおうよ!」


ユメノはすぐに穂月の意見に賛同した。