「まじかよ」


天真はまだ信じられない様子で奏を見ている。


「なによ。あたしだって色々と事情があったのよ」


そう言ってご飯を口に入れる奏。


「俺たち３人は人をイジメたくないんだ」


あたしは天真に説明した。


「そっか。そうだったんだ」


「どうにか司と穂月を止められないか。それを話しあいたくて呼んだんだ」


「止めるって言ってもなぁ……」


天真は眉間に眉を寄せてパンをかじる。


あの２人に逆らうと言う行為を想像しただけで、震えあがるくらいに恐ろしい。


だけどイジメっ子たちの体に入り込むようになってから、イジメているという行為と心がバラバラである事が見えて来た。


このままズルズルとイジメを続けていれば、浩志たちの心が悲鳴を上げてしまうんじゃ二課と言う不安もあった。


「今日、ユメノは？」


天真にそう言われてあたしは左右に首を振った。


「ユメノの意思は確認できてないんだ」


ユメノもこちらの味方に付いてくれるようなら心強いけれど……。


そう思っていると奏が小さく左右に首を振った。


「あの子は、誰かをイジメてないと壊れてしまうから……」


風の音で消えてしまうような小さな声だったけれど、あたしはしっかりとその言葉を聞きとっていたのだった。