あたしは勇人の隣に座った






お経が響く





たくさんの人のすすり泣く声がする





あたしは強く勇人の手を握った






勇人はただボーっとおばさんの遺影を見つめていた






あたしの手を握り返すことはなかった







――…そして涙を流すこともなかった









お葬式が終わった一週間後





両親は相変わらず喧嘩を続けている





勇人は狂ったように人に笑顔を見せた





皆はそれに騙されていたけどあたしは分かった





作り笑いだと




でもそんな作り笑いですらあたしには向けてくれない





あたしにだけ…




彼女なのに…勇人の態度は冷たくなった