「でも、ふっくんに彼女がいてもおかしくないよね」


運動も勉強もそこそこできて、学年問わず友達も多くて、クラスのムードメーカー的な存在だから、誰か好きになっていてもいいとは思うんだけどな。


「まあ、なんだかんだ一緒にいて楽しい奴だしね。うるさいけど」

「あー……中学時代も言われてたなあ」

「黙ってれば悪くないのに、とか?」

「そんな感じ」

「小鷹もよく女子に言われてるよな。もったいないって残念がられる感じだけど」

「あはは。うん、前に咲も言ってた」


黙ってればいい男なのに、ひと言もふた言も余計!って怒ってた。


私に言わせてもらえば、小鷹くんは準主役級だと思う。柊くんより少し大きい背丈。ふっくんと比べると優等生。高1にしてはなかなか表情筋がうごかない。


パッと見は一重であっさりした目元には、切るのが面倒と半年は切ってない黒髪がかかる。顔もなかなか整っているし、物憂げな独特のオーラに女子は小さなハートを放つ。


かくいう私も入学時、かっこいい人だなあ、クールそうだなあって思っていた。


実際の彼はクールというよりはスマートで、言動がはっきりしているのだけれど。口を開けばなんとやら。