聞かれた!? 慌てて口を押えたけれど勘違いで、ざわめきのもとに目をやれば、柊くんが登校してきたところだった。


え……何あの、痣。


「メグどうしたの!? その傷っ!」


腰を上げかけた私を止める、クラスメイトの驚愕。


「喧嘩!? 大丈夫ー!?」

「めっずらしーな! 顧問に怒られなかったのかよ」


クラスメイトの視線も話題も一気にさらった柊くんは、掛けられる言葉の数々に苦笑して応えている。


「喧嘩だけど相手、弟だからっ」

「メグって弟いたの!? 似てる? 見たーいっ」

「お前らんとこ兄弟仲悪いよなー」

「もーすっげえ生意気! 反抗期でさぁ。親とも仲悪くて参るわー」

「何個下なのー?」


深く椅子へ座り直した私に、

「なんこしたなのー?」

と、咲がクラスメイトの真似をした。


「えっと、ふたつ? 中2だって」

「行かなくていいの?」

「いやあ……原因はわかったし、」


わざわざ大人数が集まる場所に割り込むのもね。気が引けるし。うん。