そう、かな……でも、好きなようにって、


「本当にそれでいいのかな……返事もしてないのに」


普通にしゃべって、学園祭まで回る約束をして、柊くんを喜ばせちゃってる自覚がある。


……脈ありだって、思わせちゃってるのかな。


何をされても言われても嬉しいのに、いつも、罪悪感みたいなものを感じる。


「なんで保留にしちゃったんだろう……」

「だからさあーっ!」


いい加減飽きた!と言わんばかりに天井を仰いだ咲に、うぐ、と口をつぐむ。


「べっつにいいじゃん! こっちにだって考える権利あるっての!」

「ちょ、声! 声が大きい!」

「あーハイハイ。ていうか誰に遠慮してんの? メグ? 取り巻き? 向こうだって好き勝手やってんだから、遠慮とか時間の無駄!」


相変わらず思ったことをズバッと言うよなあ……。


「むしろ咲的には、即フラれなくてよかったじゃんっていうか、スペック高いからってなんでも思い通りになると思うな?って感じだしぃ」

「……、咲は、断ると思った?」


手鏡でメイクを確認していた咲は、私と顔を見合わせると斜め上に首を傾げた。


「いや、どうかな。どっちにしても驚きはしないかも」

「つ、付き合っても?」

「うん。だってひまり、メグのこと好きじゃん。嫌いじゃないって意味で」


暫く黙ってから、小さくうなずいた。それを確認した咲は、再び手鏡を覗き込む。