今でこそふっくんに画策されていたんだと知っているけど、たまたま、ふたりきりになって。柊くんはちょっと落ち着かなそうにしていて。そのくせいつもより口数が少なくて。
どきどきした。どうしたんだろうって不安を感じる以上に、途切れ途切れに言葉を並べていく柊くんの緊張が伝わってきて、どきどきした。
モテる柊くんは、こんな風に告白する男の子なんだなあって。数秒遅れで告白されたのが自分だってことに気付いてぶったまげたけど。
それは、柊くんのような人が私なんかを好きになって告白までしてきた!?っていう驚きだけじゃなく。
私、浮かれててよかったんだ、って。思い込みじゃなかったんだ、って。空想で終わるはずだったものが現実に起こったことにも心底びっくりした。
それでも柊くんが私を好きになったきっかけはまるで思い当たらなかったから、つい聞いてしまった。
なんてことない、本当に取り立てて言うほどのことでもない、きっかけを。
『しょーもないだろ?』って照れくさそうに笑った柊くんに、私は――…。
「暗いんだけど。なんかひまりの周りだけジメジメしてる。キノコ栽培できそう」
はあーっとため息をこぼした私は、前の席に座った咲へ冗談を返す気力もない。