「ごめん、結衣」
「別にいいんだけどさ。何でカイは行かないの?」
「行かないっていうか、行けない」
「行けない??」
「うん」
「カイってさ、お兄さんのこと本当に好きだったの?」
「え・・・」
「もし好きなら、諦めなくていいじゃん」
「気持ちは分かるけど、私は決めたから」
「そっか。じゃあ、カイの好きにして」
「結衣・・・」
「あたしは、カイのことずっと応援するよ」
それを聞いて私は、結衣が親友で本当に良かったと思った。
私は何度も、心の中で彼女にお礼を言った。
本当はちゃんと声に出して言いたかったのだけれど。
それができなかったのは、涙のせい。