「お母さん、ただいま」

「あら、おかえりなさい」


私はお母さんに向かって頷いて、階段を昇った。

私の部屋の隣。

そこは今まで、お兄ちゃんの部屋だった。

でも、今はもう違う。

あれから少しして、お兄ちゃんは本当の家族の元へと戻ることになった。

お兄ちゃん自身が、そうすることを望んだからだ。

・・・でもまさか、お兄ちゃんが妙子おばさんの子どもだったなんて。

でもそう考えると、全て筋が通るような気がした。

ああそうだったんだ、と納得できた。