個展の会場は、大学の近くだった。
私は絵なんて全く詳しくなかったが、どうやらその先輩が有名な人であるらしいことは見ていて分かった。
お兄ちゃん曰く、期待の新人なのだそうだ。
会場は想像していたよりも多くの人で賑わっていた。
私たちは主催者であるお兄ちゃんの先輩に挨拶をし、一通り作品を見てから会場を後にした。
帰り道、私はお兄ちゃんと並んで歩いていた。
お互い、何も話さない。
・・・告うって、決心したんじゃなかったの。
そう自問してみても、その答えは敢然としたものではなかった。
でも、このままでいいとはもう思えなかった。
伝えなきゃ。
そう思った瞬間に、私は口を開いていた。