そのうちに、カイが帰ってきた。 さっき目にした光景が蘇る。 ・・・もっと早く。 もっと早くに、母さんが事実を打ち明けていれば。 そうすれば、何か変わっていたかもしれないのに。 そこまで考えて、そんな自分に嫌気が差した。 「おかえり、カイ」 「ただいま。早かったんだね」 「まあな」 カイはいつもより遅かったんだな—―とは、さすがに言えなかった。