「かーいー」

「・・・何ですか」

「さっきは、ごめん」

「別に。怒ってないし」

「怒らせるつもりはなかったんだけどさ」

「だから怒ってないってば」

「嘘だ。声が怒ってる」

「もういいって」


制服から部屋着に着替え終えた私は、部屋のドアを開ける。

お兄ちゃんは、すぐそこに立っていた。

着替え中だろうからドアを開けない、そういう紳士的なところは、たまにムカつく。

お前は兄貴だろうが、と言いたくなる。