カイちゃん、と優しく佐久間さんが呼びかけてくれる。

でもやっぱり、涙は止まらない。

泣きじゃくる私の手を、佐久間さんはそっと、でも力強く、握ってくれた。


「何で、望月なの?」

「・・・」

「オレじゃ、だめかな。オレだったら絶対、カイちゃんのことこんな風に泣かせたりなんかしないよ」

「ごめんなさい」

「あー、いいって、もう。謝んないで。マジでヘコむから!」


佐久間さんはそう言って、私の頭をぽんぽんと叩いた。

何で佐久間さんは、いつもこうなんだろ。

いつでも優しくて、あったかくて、大きくて。

お兄ちゃんなんかよりも、ずっといい人なのに。

そんな佐久間さんの前で泣いている自分が、この上なく情けなかった。

何で佐久間さんは、私なんかのことが好きなんだろう。