翌日。

当たり前だけど、学校に結衣はいない。

彼女は私にとってとても大きな存在だった。

だから結衣がいないだけで、心にぽっかりと穴が開いてしまったようだった。


「カイちゃん」


学校を終え、気の重いまま校門を出たときだった。

私は不意に声をかけられた。


「佐久間さん。・・・いつから、ここに?」

「え、それ聞く?ついさっき来たんだけど」


佐久間さんははにかみながらそう言って、私の手を取った。

その瞬間、嘘だ、と思った。

ついさっき来たにしては、佐久間さんの手は冷たすぎた。

そんな小さな佐久間さんの嘘に、私はどう応えればいいのか分からなかった。