その後も、結衣は私にいろいろ教えてくれた。

結衣のお父さんはもういくらも生きていられないと、彼女は言っていた。

もう手遅れだろうと、医者にも宣告されたらしい。


そんな話を、結衣は涙を堪えながら話してくれた。

決して泣かないと、そう決めたと言って。

彼女は、私なんかよりもずっと強い人間だった。


時刻はもう、午後2時を回っていた。

私は結衣に断って、帰ることにした。

帰り際、結衣は私に「ありがとう」と言ってくれた。

その言葉で、私の我慢していた涙がこぼれ落ちそうになる。