ドアの向こうで、人の動く気配がした。

きっとお兄ちゃん、もうそこにはいないんだろうな。

そう思いながら、そっとドアを開けてみる。

案の定、お兄ちゃんはもうそこにはいなかった。


・・・運命、か。

お兄ちゃんの言葉を、胸の中で反芻してみる。

運命って、何なんだろう。

「赤い糸」とかよく聞くけど、私たちのは、それとは違う。

赤い糸で結ばれていたのなら、どれだけ良かったことか。

小さい頃は、本気でお兄ちゃんと結婚するつもりだったのに。

・・・馬鹿みたいだ。