それにしても、結衣がお兄ちゃんの気持ちに気付いていたなんて。

いつから知っていたんだろう。

いつから、つらい思いをしていたんだろう。

…いつから、一人で苦しんでいたんだろう。


私は結衣とお兄ちゃんのことが気になって、そっと部屋を出た。

階段の中腹あたりまで来ると二人の会話が聞こえたので、私はそこに腰を下ろした。


――好きです。


結衣の声が聞こえた。

何も飾らない、真っすぐな言葉だった。