「ただいまー」

「あ、カイ。おかえり」


いつも通り、優しいお兄ちゃん。

その優しさを故意に踏みにじるのは胸が痛かった。

お兄ちゃんなんて嫌い、と自己暗示をかける日々が続いた。

それでもなお、私の気持ちは強くなる一方で。

お兄ちゃんも、相変わらず優しかった。

私に避けられていることは、気付いているはずなのに。